だいぶ以前にこのバンブートルのシャンパンクープを入手して、何とも言えない温もりを感じる使い心地がとても気に入りました。一点だけだったのでブログ掲載を怠っていましたが、今回同じシリーズのアイスペール入手にあたりブログにも追加することにしました。
このシリーズは1890年代初頭のリリースと言われていて1893年のカタログでもトワレセットなどが確認できます。
本当に1890年代初頭でそれ以前ではなかったかは一件のウェブサイトで読んだだけなので100%確かではありません。
当時の大ヒット商品だったようで似て非なる品後追い品が多く出回っていますが、1890年代初頭リリースというのが本当なら、バカラがプレス成型の製品にバカラマークを入れ始めた後になるので本物には全てマークが入ってるはずです。本当でしょうか?
1900年代のカタログでも本体部分の同じバンブー・トルのアイスペールは確認できますが、1900年代の品は取手部分がシンプルなのに比べ、取っ手の意匠が凝ったこちらの品は1890年代の品ではないかと推測します。あくまでも推測ですが。このアイスペールには底裏部にBACCARAT DEPOSE'とマークが入っています。
20世紀に入ってからも人気は衰えなかったようで1907年のカタログではジュドルグの次の冒頭に掲載されています。
1907年カタログページ
1903年カタログページ
名前の由来
バンブートル Banbous Torsは捻れた竹という意味を持ち見た目通りのネーミングです。
Photo: ©junichiro AOYAMA
「竹」というとすぐに日本や中国を連想する型が多いのではないかと思いますが、竹はもともと温暖で湿潤な気候を好むのでアジアの熱帯、温帯に多く分布し、北アフリカやアメリカ、ヨーロッパには自生していなかったそうです。
いつ頃から竹がヨーロッパに伝わったのかは調べてみましたがわかりませんでしたが、このピースに関して言えば、アールヌーボー時期の19世紀末のジャポネスクと解釈できます。
ただ、竹の具象ではなくあくまでインスピレーションを得たと言う印象で、1870-80年代のバカラのものとされる竹型の花瓶や、エミールガレの竹を模した花瓶と比べても圧倒的にモダンな感じがします。
1870-80年代のバカラのものとされる竹型の花瓶
明らかにジェポネスクですね。
この画像はSothebysのサイトから拝借しました。
アールヌーボー時期ジャポネスク エミール・ガレの竹をモチーフとした花瓶
この画像はこちらのサイトから拝借ています。
似たような意匠の銀器の画像も見つけたので掲載しておきます。やはり19世紀終わり頃の品とのこと。