2019年10月29日火曜日

アンティークバカラ ドラプリー BACCARAT DRAPERIES



1839年のバカラのカタログに掲載されているドラプリー・シリーズのデキャンタです。
先日ミラノの高級住宅街の古道具屋で1839年のバカラのカタログに掲載されていて、その後のカタログには見つからないドラプリー(DRAPERIES)シリーズのデキャンタを見つけたので入手しました。生憎ストッパーはオリジナルではありませんし全体に白濁もあるのですが欠損はなく、これだけ古いものがイタリアで見つかるのはとても稀なこと。イタリアで19世紀にフレンチクリスタルを使用していた家庭といえば貴族か相当なブルジョワだと思います。私がコレクションしているアールヌーボーからアール・デコ期のクリスタルとはだいぶ感じが違いますが思わず購入してしまいました。





3画像すべて1839年のバカラのカタログページ
同じシリーズで色々なタイプの品が製造されていました。







名前の由来
ドラプリー DRAPERIESとはドレープのついたゆったりとした服やカーテンや飾り布の意味ですので意匠通りのネーミングということになります。

ちなみに私の住んでいるイタリアでは写真のように沢山ドレープのついたカーテンはフランス式カーテンと呼び、似たようなタイプでドレープがやや少なめになるとオーストリア式カーテンと呼ばれます。

フランス式カーテン


ドレープの沢山入ったカーテンは下手に使うとキッチュなほど装飾的になるリスクがありますが、ドレープ自体のの美しさは普遍的なものだいうのが私感です。

若い頃、パーティーで彫刻家の故宮脇愛子さんが三宅一生のドレープ入りのドレスをさりげなく着こなしているのを見て素敵だと思ったのをよく憶えていますし、倉俣史朗氏の設計したイッセイ・ミヤケのパリのブティック壁面がドレープで構成されていて当時とても衝撃的でした。
このクリスタルに彫刻されたドレープも飽きのこない美しさです。
そこで古いものから新しいものまでドレープの美しい美術作品をいくつか紹介します。



紀元1世紀の彫刻 ”Octavia minor or Sibyl Farnese”
ナポリ考古学博物術館 ファルネーゼ・コレクション収蔵
Photo: Jebulon




イタリアの彫刻家アントニオ・コッラディーニの”Pudicizia velata”(ベールに包まれた謙虚さの意)大理石の塊から掘り出しているのですがらすごい技術です。
コッラディーニは次に紹介するカノーヴァほど有名ではありませんがカノーヴァの作風に大きな影響を与えました。
PhotoDidier Descouens




イタリアの彫刻家アントニオ・カノーヴァ(Antonio Canova, 1757-1822) 
『アムールとプシュケ』Amore e Psiche (1793), パリ、ルーブル美術館所蔵
下半身を覆う布のドレープが綺麗です。
PhotoDennis Jarvis



同じくアントニオ・カノーヴァ画(Antonio Canova, 1757-1822) 





倉俣史朗氏の設計したイッセイ・ミヤケのパリのブティック
画像はこちらのブログから拝借しています。
http://thesefields.blogspot.com/2011/09/issey-miyake-store-paris-shiro-kuramata.html

三宅一生のドレープ入りのドレスも載せかったのですが画像が見つからず。。





ドレープのアートを調べていて美しいドレープの作品を作っているフランスのコンテンポラリーアーティスト ジャスティン・モリンの美しい作品を見つけたのでいくつかご紹介します。