2022年3月8日火曜日

アンティークバカラ パレルメ BACCART PALERME

アンティークバカラ  パレルメ




多数出回っているショニーに似ているけど上部に水平ラインの入っていないタイプ、どうもパレルメという別名があるようです。

今回は各種混合セットの中に4客だけハイボールグラスが入っていたため入手し、即完売してしまいましたが、写真は保管してあるのでブログの項目に追加します。

元々はビールグラスだそうですが底部分に厚みがあると、ビールよりハイボール、水割りに似合いそうです。サイズ的にはジュースにも良さそうですね。



ショニーのカタログページ


古いカタログのビールグラスのページに上部に水平ラインの入っていないタイプ似たカットのものがありますが、今回入手したのとは若干異なります。



名前の由来

フランス語の発音でパレルメ、はイタリアのシチリア州の州都パレルモのこと。


自分が住んでいるイタリアのこととなるとなんとなく力が入ってしまい、書きたいことが盛り沢山ですが、できるだけ冷静に数を絞って書きましょう。


ブログの他の項目でも触れたこと上がりますが、シチリアはブルボン朝時代フランス領だったこともあり、フランスには馴染みの深い土地です。

シチリア島はイタリアの長靴が蹴飛ばしている大きな石ですが、地中海に浮かぶ島で古い歴史があり、遡ればパレルモには旧石器時代から人が住んでいたと言われています。

古代ローマ時代はローマ帝国に属し、9世紀には北アフリカのイスラム教徒に占領されたり、1098年にはノルマン人占領され、15世紀にはイベリアの副王領になります。

ブルボン王朝領になるのは1734年からで、1860年イタリア統一のためにガリバルディ将軍が上陸し、1867年にイタリア統一が終了します。

多くの民族の侵略の歴史を持っているだけあり、独特のハイブリッド文化があり、食文化などもイタリアの他の土地とはだいぶ異なります。例えば名物料理カポナータなど甘酢の味付けをする料理は、イタリア国内ではシリア以外にはありません。



                 海から見たパレルモ



パレルモの観光スポットと言えば一つ目はノルマンニ宮殿、9世紀にパレルモを支配していたアラブ人太守の元で建設が始まり、12世紀にルッジェーロ2世とその後継者ノルマン王たちによって拡張されたもので、現在ではシチリア州議会として利用されています。



ノルマンニ宮殿外観


ノルマンニ宮殿内部天井のフレスコ画


ノルマンニ宮殿内部にあるパラティーナ礼拝堂




二つ目はカテドラル。正式名称:La Basilica Cattedrale Metropolitana Primaziale della Santa Vergine Maria Assunta (聖母マリアの首座主教メトロポリタン大聖堂大聖堂)




独断ランキング三つ目はバッラロBallarò)と呼ばれるマルシェ。新鮮な野菜や果物、近辺で採れた魚などで極めて活気があることで有名です。


バッラロ(Ballarò)と呼ばれるマルシェ



独断ランキング四つ目はパレルモ大学部族植物園。特に枝垂れた枝が地表に届き、そこからさらに根が張っているFicus macrophyllaの木は一度見たら忘れることはできません。


パレルモ大学部族植物園Ficus macrophyllaの木



シチリアの名物料理というと先出のカポナータ、パスタ アラ ノルマなどがありますが、パレルモの名物料理代表としては、やはりパレルモ風イワシのパスタでしょうか。

私が料理のバイブルとしているステファニア・ジャンノッティの粉砂糖というレシピ&エッセイ集(邦題:イタリアを食べる 翻訳:内田洋子)に載っているそのレシピの書き出しは、


「それは生まれたところで、自然に育つ。人が空腹を覚えるように、愛を感じるように、自然なこと。雑草のようにのびのびと、田舎の少女の瞳のようにシンプルに。

北ではたとえ肥料をやっても、微塵たりとも育たない。泥臭い南部の野菜。あなたに教えてあげるレシピは、作ろうと思ってもほとんど不可能だし採れる場所もほんの少ししかない。」



パレルモ風イワシのパスタ

写真はこちらのリンクから拝借しています。

https://www.lacucinaitaliana.it/ricetta/primi/pasta-con-le-sarde-alla-siciliana/


この文章とレシピを読んで長い間この料理の味をを想像して憧れていました。数年後にパレルモ出身の友人が野生のウイキョウをシチリアから持ち帰り作ってくれるまで。

この独特の風味のある野生のウイキョウとイワシ、松の実、干し葡萄という意外な取り合わせは、ハイブリッド(混血的なという意味で)なシチリア文化をそのまま料理にしたようです。


最近では、日本でイタリアンレストランを経営する知人は自家栽培で野生のウイキョウなんとか東京近郊で育てているようですが、やはりシチリアで育ったものとは味が違うと言っていました。

そして、そういうお金さえ出せばなんでも手に入る、のでは無い物事がまだまだあるからこそ世界は未だに面白いのではないだろうか、と思うのです。