2023年1月5日木曜日

アンティークバカラ ロンシャン  BACCARAT LONGCHAMP

バカラ樽型ローハンと同型のロンシャンを初入荷しました。


グラスのロンシャンの購入が決まったので、入荷を待ちながらブログ書きを進めておこう、まずは
20世紀の建築の巨匠ル・コルビジェの名作のロンシャンの教会のことを!と張り切って調べ始めたら、、とほほ、、ル・コルビジェのロンシャンの教会のスペルはRongchamp、グラスのネーミングはLongchamp 。。。ヨーロッパに長く住んでいてもRLの区別はいまだに苦手です。ちょっと日本語で「バカラ ロンシャン」と検索したらやはり同様の勘違い=ル・コルビジェのロンシャンのことを書かれている方が他にもいらっしゃいました。一人じゃなくて良かった。。。(笑)


そしてLongchampで検索すると著名バックブランドのせいでカバンの画像やサイトばかり出てきてしまう。困ったものです。


その後色々調べましたが、はLongchampと名の付く町は3つほどありますが人口も少なく、特記する歴史背景もない。

だからそのどれかの町に由来している考えるのも無理がありそうです。


唯一有名な「Longchamp」はパリの競馬場。このモデルはパリの競馬場ロンシャンから名お受けている、と断定して良さそうです。

パリのバッグブランド、ロンシャンもこのロンシャン競馬場から名前を取っているのだそうです。


そう考えると、もしかしたらこの2本の水平カットは競馬レーンからインスピレーションを得ているのかもしれません。ロンシャン競馬場を描いたマネの絵画に描かれた競馬レーンの柵を見て見て下さい。


ロンシャン競馬場を描いたマネの絵画(1872年)



パリのブローニュの森(Bois de Boulogne)はパリの西側にある大きな公園。シャンゼリゼを背にして凱旋門の少し先の左側の巨大な公園、と言ったらわかりやすいでしょうか?その公園の中に競馬場ロンシャンはあります。


公園内には、フランス国立民族民芸博物館、フォンダシオン・ルイ・ヴィトン(こちらの設計はスペインのビルバオのグッゲンハイム美術館の設計などでも有名なフランク・O ・ゲイリー)、アクリマタシオン庭園の子供遊園地、バラ園で有名なバカテル庭園、シェイクスピア庭園、オートゥイユ庭園のほか、全仏オープンが開催されるテニス場スタッド・ローラン・ギャロスなどがあり、その中に有名なパリロンシャン競馬場もあるのです。

バガテル庭園は24ヘクタールもの広大なフランス幾何学式庭園で、バガテル・バラ園には約1万本のバラが植えられているそうです。(バカラのバガテルシリーズの項目はこちらをどうぞ)



昔は荒廃したパリ郊外の森だったのをルイ11世の時代に植林や道が整備されて徐々に公園らしくなったと言われます。ルイ11(1423-1483)といと15世紀のことなのでかなり歴史のある地ということになります。

革命前はロンシャンの修道院でのミサを口実に、着飾った上流階級の人々が高級馬車に乗り富を見せびらかしてシャンゼリゼ通りからブローニュの森のロンシャンまで行く様子がロンシャンの散策 " と名ずけられた程だそうです。それを庶民がどんな目で見ていたのかを想像してしまいます。



ブローニュの森鳥瞰写真


現在のブローニュの森の形に近くなったのは、19世紀中頃の第二帝政期、ナポレオン三世が多種多様な植物を栽培し、乗馬コース、自転車道路、パリ ロンシャン競馬場、滝で結ばれた2つの人工池等様々な設備が整備されます。


日本で「競馬場」というと赤鉛筆と競馬新聞を持った賭けで殺気立ったおじさんが向かう場所、というイメージを持っている方も多いと思いますが。ヨーロッパでは立派な社交の場。上流階級も通うのでかなりエレガントな感じです。


ロンシャン競馬場竣工は1857年ナポレオン三世の出席で開幕式をします。


竣工当時のロンシャン競馬場


竣工当時のロンシャン競馬場



19世紀後半にはマネやドガなどの著名画家がロンシャン競馬場の様子を描いています。


ロンシャン競馬場を描いたマネの絵画(1867年)



ロンシャン競馬場を描いたドガの絵画(1873年)



ファッションの観点からだと20世紀初頭の競馬場のおしゃれな女性の姿も興味深いです。


ロンシャン競馬場の女性達(1908年)




ロンシャン競馬場の女性

ロンシャン競馬場、グランプリの日の女性装い

当時としてはかなり最新ファッション、という感じですね。

(年代不明ですが服装からアール・デコの時代でしょう)




開幕当時木造だった施設は1908年に石像で作り直されます。


1922年頃のロンシャン競馬場


さらに2015年から20183年間の工期で建築家ドミニク・ペロー氏の設計最新の施設に建て替えられました。


2018年竣工の現在のロンシャン競馬場メイン客席


ちなみに仏語版のウィキペディアによると、ブローニュの森公園全体がフランス競馬界の管理下にあるとのこと。



色々珍しい画像をご紹介しましたが、この「風車のある競馬場」というのがロンシャン競馬場の最も象徴的な写真です。