2024年7月2日火曜日

ヴィンテージ バカラ ドン・ペリニヨン BACCARAT DOM PERIGNON



1961年リリースのこのドン・ペリニヨンはバカラの現代化の方向転換の象徴と言っても過言ではないモデルでしょう。

バカラはこのドン・ペリニヨンリリース翌年1962年に、1925年のミケランジェロリリース後35年年以上続いた、バカラ独特のアールデコスタイルのノーステム、ショートステムにアラベスクのデコレーションを施した製品をカタログから一掃し、コンテンポラリー志向にドラスティックに方向転換。

一つの時代が終わり新しい時代が始まります。

このシンプルで上品、脚とカップ部に継ぎ目のない成形は,リリース当時としては技術的にも革命的な製品だったといえます。

このドン・ペリニヨンシリーズは同じくバカラのシンプルなシリーズであるパーフェクションなどと比較しても極めてコンテンポラリーで美しいデザインです。


バカラの方向転換後のその他のモデルにはボリス・タバコフのデザインのグラスなど大変美しく個性的な作品もありますが、大半は個人的にはコレクションするほどではないかな、と思っています。コンテンポラリーデザインだとバカラでなくても沢山いいものがある、という意味で。

それでもこのドン・ペリニヨンは様々な角度から見て、非常に完成度の高いグラスであることは否めません。


今回、売りに出さずに持っていたドン・ペリニヨンのデキャンタを手放すにあたりサイズリストを作りましたので、同時にドン・ペリニヨンのページも作成することにしました。

グラス類は2013年に一度入荷したきりなので寸法はその時の採寸に基づき記載しています。(変わってはいないはず)当時は容量を測っていなかったので容量の記録はありません。




名前の由来

ドン・ペリニヨンというと誰でも最初に想像するのは高級で有名なドン・ペリニヨンというシャンパンの銘柄だと思います。

シャンパン、ドン・ペリニヨンのボトル


ではそのシャンパンの銘柄の名前はどこに由来しているのでしょうか?

ドン・ペリニヨンという銘柄名は、シャンパンを発明したとされるキリスト教カソリックのベネディクト会修道士ドン・ピエール・ペリニヨン(Dom Pierre Pérignon1638-1715)にちなんで名付けられています。


ドン・ピエール・ペリニヨン(Dom Pierre Pérignon1638-1715)


ドン・ペリニヨン修道士はフランス北東部のシャンパーニュ地方で生まれ、発泡ワインの一種、シャンパンの完成に生涯を捧げたと言われています。

ドン・ペリニヨンとして知られるピエール・ペリニヨンは、シャンパーニュ・アルデンヌ地方のサント・ムヌホールドで父親や叔父のブドウ畑で働き、ワインと密接に関わりながら育ちました。

司祭になった後、30歳でサン・ピエール・ドーヴィエのベネディクト会修道院の会計兼ブドウ畑の管理者に就任。ワインの販売によって自活していたサン・ピエール・ドーヴィエの修道院にとって、これは重要な任務でした。


現存するサン・ピエール・ドーヴィエの修道院

修道院としては西暦665年から1789年まで

現在ではシャンパンのドン・ペリニヨンも製造しているモエ・エ・シャンドン社の所有で

重要なクライアントのゲストハウスとしても利用されているとのこと。

ドン・ペリニヨンの貯蔵所も兼ねています。



ドン ペリニヨンがシャンパンを発明したという伝説には 2 つの異なる説があり、1 つ目は、エポックメイキンな発明にはよくある「偶然」だったというもの。ドン ペリニヨンは、白ワインのボトルを瓶詰めした後、その一部が爆発したため。そこで修道院長は、スパークリングワインを作る方法があることに気づき、二次発酵、つまり瓶内発酵後に二酸化炭素が発生するプロセスを発見したというもの。当時は突然瓶が爆発してガラスの破片が飛び込むのを恐れて、「悪魔のワイン」と呼ばれていました。

2番目の説では、偉大な実験家であるドン ペリニヨンが瓶詰めの白ワインに意図的に砂糖と花を加え、発酵後にどのようにして泡が発生するかを発見したとされています。

実際には、最新の研究で、ペリニヨンが誕生するずっと前からシャンパーニュ地方にスパークリングワインが存在していたことが証明されていて上記の二説はどちらも伝説ということになります。でも、確かなことは、ドン ペリニヨンの、この地域のブドウに関する深い知識のおかげで完成度を高め、シャンパンを世界で最も有名なスパークリングワインのならしめたことでしょう。

ピノ ノワール、シャルドネ、ピノ ムニエなど、シャンパーニュの製造に最も適したブドウの木を選択したと言われています。彼はまた、現在のコルク栓を導入し、製造方法の改良に努め、卓越した保管システム開発にも貢献しました。



ドン・ピエール・ペリニヨンが導入したと言われる現在も使われているコルク栓


ドン・ピエール・ペリニヨンのシャンパン製造方法は、彼のアドバイスに従って、今日でも彼の名前を冠したラベルだけでなく、世界中の最も重要なワイナリーすべてで生産されていて、北イタリアのスプマンテなども「シャンパン技法」「クラッシック技法」と書かれているラベルを頻繁に見かけますが、それはドン・ピエール・ペリニヨンのシャンパン製造方法にて製造した、という意味になります


ドン・ピエール・ペリニヨン(Dom Pierre Pérignon1638-1715)の彫像



そして、ドン ペリニヨンは 1715 年に亡くなる前にシャンパン製造に関して、以下のような大切なアドバイスを後継者に残します。

- 白ブドウはワインに潜在的な発酵傾向を与えるため、黒ブドウを使用したピノ・ノワールが良い。

- ブドウの質を上げるため収穫量は少なくする。そのためブドウの高さが 1 メートルを超えないようにすること。

- ブドウが無傷で茎に付着し、新鮮なままであることを確認し、慎重に収穫すること。壊れたり傷ついたりしたものは捨てること。

- 揺らしすぎるなどしてブドウを傷める可能性のある動物を使用した作業を避け、必ずブドウを人による手作業で圧搾機に運ぶこと。

- 大きなブドウよりも、おいしい小さなブドウの方が品質が良い。

- 仕事は早朝し、暑い日は夕立などで気温が下がる時を利用すること。

-決して足でブドウを押したり、搾りかすをマストに浸漬したりしないこと。