2022年6月1日水曜日

アンティークバカラ 55型 斜めジュドルグ BACCARAT FORME 55 TAILLE JEUX D’ORGUE DE BISEAUX

クープグラス 直径  95mm  高さ105mm


バカラの1907年のカタログに掲載されているこのモデル、クープの斜ジュドルグカットもさることながら、脚の面取りやダイヤモンドカットもゴージャスで、とても品格のある美しい品です。







1907年のカタログ


モデルの名称ですが1907年のカタログを見ますとモデル名、というかモデルを指定する記述は

Forme 55

TailleForme55 Taille jeux d'orgue de biseaux


これを直訳すると

形:55 

カット:斜角オルガンパイプ


普通略式のモデル名はカット、グラヴュール、エッチング等のデコレーションで他の同型モデルと区別するのでこのモデルもカット名をとって「Taille jeux d'orgue de biseaux」としておきましょう。 直訳すると「斜角オルガンパイプ」。。。でもその直訳も、またフランス語の発音を全部カタカナ表記するのも冗長なので、「斜めジュドルグ」と呼ぶ事にします。



2022年8月デキャンタも入荷しました。

カットの似ているリシュリューのセットに混ざっていました。

遠目だとリシュリューに似ていますがよく見るとディテールがとても凝っています。






似てるけど違うもの 



さてこの「斜めジュドルグ」カット一見、リシュリューのカットと似ているのですが、とてもキラキラ光ります。

同じ1907年のカタログで確認したところリシュリューのカットはNo. 5777という番号です。

リシュリューのページはこちら。http://galleria-kajorica.blogspot.com/2019/11/baccarat-richelieu.html



違いをよく確認すると、リシュリューの5777カットは先端が丸くアールのついたカットですが、この「斜めジュドルグ」カットは先端が尖っています。その為周りの映り込みが倍増し、光の反射もすごく増えてキラキラ感のある高級感の高いグラスに仕上がっているのです。

カットする工具の先端の形状の違いだけでこんなに最終的な効果が変わってくるのですね。


リシュリューの5777カットと「斜めジュドルグ」カット比較写真

この写真をよく見ると、「斜めジュドルグ」カットには天井のジャスミンが一つのカットの半分に一つに写り込んでいるのが見えます。一方リシュリューのカットには一つのカットに一つの映像だけが写り込んでいます。だからとても似ているようでいて「斜めジュドルグ」は光も一つのカットの半分に一つに写り込んで反射するので、反射がリシュリューのカットの倍になることになります。


「キラキラジュドルグ」とか勝手に名前をつけて呼びたくなってしまいます。


脚の面取りやダイヤモンドカットも陽の光を受けると虹色のプリズム分光を放ち、とても高級感のある美しさがあります。


この品はこういう品番なので恒例の名前の由来コーナーはありません。


斜めカットの入らない垂直に立ち上がるカットのジュドルグのブログページはこちらです。

http://galleria-kajorica.blogspot.com/2016/01/baccarat-jeux-dorgue-de-cote-creuses.html