タレーラン(和名タリランド)とブルボンの中間のようなこのヴァランセ(VALANCAY )というモデルは、1947から、アールデコ様式のモデルが一掃される1961年まで製造されていたそうです。
はじめ写真を見た時はタレーランの研磨修復が大きくて口の反り返りがなくなっているしなか?と思いましたが、タレーランのフラットカットが直線であるのに比べ、これはカット自体にもカーブが入っていてカップ部はブルボンとほぼ同じ、カップの付け根とベース部はタレーランと非常に似ている、というモデル。希少な部類に属する品と言えます。
ちなみにセットになっていたデキャンタはタレーランのデキャンタでした。
上記写真は手持ちサンプルでの比較のため満水用量は微妙に異なり
左タレーラン100ml・中央ヴァランセ 75ml・右ブルボン 80ml
タレーラン(和名タリランド)とブルボンに関してはブログのこちらのページをご覧下さい。
名前の由来
あちこちのサイトでこのモデル名は”Valancay”という記述があるのですが、フランス語でValancayという言葉はないようなので、固有名詞Valençayの事ではないかかと推定して、Valençayについて書きます。
Valençay=ヴァランセは ロワール地方のお城の一つで、フランスの名家タレーラン家の古い居城として知られています。そうです、日本ではタリランドと呼ばれているタレーランのお城です。
10世紀頃に建設され、17世紀まで何度か改装されます。
グラスは形状も似ていることから、ネーミングもタレーランと関連つけて、兄弟モデルと考えていたと簡単に推測出来ます。
AZAYの項目でも書きましたが、ロワール地方は16世紀にフランソワ一世がフランス国王になり権力の中心をパリに戻すまで、10世紀頃から5世紀間に渡りフランス国王やそれを取り巻く貴族によりゴージャスなお城があちこちに建設されたことで有名で今ではユネスコの世界遺産になっています。
ロワール渓谷のお城群に関しては詳細はAZAYをご覧下さい。