新着品ではなくだいぶ以前、バカラのタレーラン(タリランド)のセットに1客だけ紛れて入っていて、普段用に使っていたグラスがアンティーク サンルイ ポアンカレと知り、ページを追加することにします。
満水容量 220ml
1930年、1948年のカタログにも掲載されているアールデコのモデルです。
バカラのタレーランが本体は厚い作りながら小口が外向けに沿っていて薄くなっているのに比べ、ポアンカレは小口も結構しっかりした厚みで(手持ちのものは2mm程度)内側につぼんでいる為、あまり神経質ならずに使えて便利です。
あえて使い勝手の難を挙げるなら、底が尖っていて綺麗に洗うには細い筆などが必要になります。
恒例の由来のコーナー、ポアンカレ(POINCARE’)はフランスの人名。
特に有名なポアンカレは二人います。
一人目はフランス第三共和制の政治家で弁護士であるライモン・ポアンカレ(1860ー1934)1912−13年フランス共和国主首相を務めたほか一般教育・芸術、宗教相、蔵相、外相などを務め活躍しました。
二人目は、国際的に知名度が高い従兄弟の数学者で天文学者のジュール=アンリ・ポアンカレ (1854ー1912)です。
ライモン・ポアンカレもアンリ・ポアンカレも由緒あるアカデミー・フランセーズの会員ですが、
製品のリリースが仮に1930年として現存の政治家の名前を製品名にするというのは考えにくいので、ネーミングの由来としては数学者で天文学者のジュール=アンリ・ポアンカレだったと推定してアンリ・ポアンカレを簡単に紹介します。
ジュール=アンリ・ポアンカレは1854年ナンシーの裕福な家庭に生まれ、高校時代から数学教師から「数学の怪物」と呼ばれるほどの秀でた成績を残し、パリのエコール・ポリテクニーク(理学学校)に入学。優秀な成績を残し続け学位を取る前から論文を出版したりします。
卒業後、仕事を始めた後もエルミートの下で学び、パリ大学で数学の理学博士号を取ります。
微分方程式の特性を研究する新しい方法の考案で、一般的な幾何学的特性を研究した最初の人物となった。ポアンカレは、微分方程式が太陽系内で自由運動している複数の物体の振る舞いをモデル化するために使用できることを発見。
イタリア同様、というかイタリア以上に人文系の科目の重視されるフランスで、フランスの数学者、理論物理学者、科学哲学者。数学、数理物理学、天体力学などの分野で重要な基本原理を確立し、多大な功績を残します。
彼は純粋数学、応用数学、数理物理学、天体力学に多くの独創的な貢献をし、数学で最も有名な問題の 1 つであるポアンカレ予想の定式化。 三体問題の研究において、彼は決定論的なカオス システムを初めて発見し、現代のカオス理論の基礎を築き、トポロジーの創始者の一人とも考えられています。
ポアンカレは1905年に発表された相対性理論を導入し、ローレンツ変換を現代の対称形式で最初に提示します。 彼は相対論的速度に関する変換を完了し、それを 1905 年にローレンツへの手紙に書き写し、マクスウェル方程式の完全な不変性を得、特殊相対性理論の定式化における重要なステップとなります。
。。。と、あちこちに書かれているものをまとめるとこんな感じなのですが、実は高等数学、物理学のことは今一つよく理解していないまま書いております。。。あしからず。
彼の生まれたナンシーには彼の名のついた高校だけでなく、ナンシーの三大学の中でも自然科学・工学系の学部を有する大学はアンリ・ポアンカレ大学路名付けられています。
『科学と仮説』の中の有名なフレーズ
数学者はオブジェクトを研究するのではなく、オブジェクト間の関係を研究するものです。 したがって、関係が変わらない限り、これらのオブジェクトを他のオブジェクトに置き換えるかどうかは、干渉しません。 素材は重要ではなく、形だけが彼らに興味を持っています。 (P49);
絶対的な空間は存在せず、相対的な動きしか考えられません。 しかし、機械的な事実は、それらが関連付けられる絶対的な空間があるかのように述べられることがほとんどです。 (P.111)。
絶対的な時間はありません。 2 つの持続時間が等しいと言うのは、それ自体には意味はなく、慣例によってのみ意味を獲得できるます。 (P.111)。
「地球は回転する」と「地球が回転すると仮定した方が都合が良い」という 2 つの命題は、全く同じ意味を持っています。 そして一方にはもう一方よりも多くのものは何もありません。 (133ページ)。