2020年4月1日水曜日

アンティークバカラ マレンゴ BACCARAT MARENGO




マレンゴ・シリーズ写真
現物を入手したわけではないのですが、綺麗な写真がアーカイブから見つかったので項目を足すことにします。この写真どこから入手したか記憶にないのですがどなたかの版権を侵害しているようでしたら、即刻引き下げますのでお知らせください。
Marengoは同カットのショートステムのモデルはパリ、ジャンリュースのデザインです。

マレンゴの掲載されたカタログページ上記の写真とカップの形状がやや異なります。
時期により複数の形状があるのはローハンやゴルフジュアンなども同様です。

名前の由来
このモデルの名前はマレンゴの戦いのあったマレンゴに由来しているのか、それともナポレオンの愛馬マレンゴに由来しているのか不明です。愛馬マレンゴは有名なので多分馬にちなんでいるとは思いますが、いずれにしても馬の名前はマレンゴの戦いにちなんでいるので両方書きましょう。


ジャック=ルイ・ダヴィッドによる「アルプス越えのナポレオン」(1801年作)
描かれている馬はマレンゴですが、悪路を走破する必要から実際はラバに乗っていたとされています。



まずはマレンゴの戦い(Bataille de Marengo)から書きますと、ナポレ オンの第二次イタリ ア遠征にて、18006 1314日に行われたオーストリア 軍との 戦闘。現在のイタリア北部 ピエモンテ州アレッサンドリ ア近郊の町マレンゴとその周 辺で行われました。

 マレンゴの戦いの様子。


ナポレオンが指揮を誤っ たためフランス軍の辛 勝であったといわれていますが、ナポレオンは 大勝利と喧伝し、その名を愛 馬に与えたともいいます。 

バカラ のアール・デコのモデルには歴史的な戦のあった場所にちなんでいるものが、、私の知っている限りで他に6つあります。Charmes, Lodi, Magenta, Champaubert, Marignaneそれから Touraineというモデルも Bataille de Nouyにちなんでいるのです。もしこのマレンゴも入れると7つ。


1933年のカタログの「戦シリーズ」のページ全てのモデル名が歴史的な戦いにちなんでつけられています。
もちろん全てフランス軍が勝ったものばかり。ここにはマレンゴは掲載されていません。

あまり戦争の話は好きでないので、マレンゴの戦いの詳細は割愛し、それにまつわるエピソードを紹介します。
マレンゴの戦いの夜、戦場の混乱の中で食料が届かない中、料理人があ りあわせの材料で工夫し、チキンのトマト煮にエビと玉子を添えた料理 をナポレオンに提供し、これがフランス料理の「 鶏のマレンゴ風 」の 起源。以来ナポレオンは縁起担ぎの意味でしばしばこの「鶏のマ レンゴ風」を食したといわれています。ただし当時トマトが手に入ったかは疑 わしく、この話は俗説に過ぎないと言う人もいます。ナポレオンの勝利を記念し てレストランの料理人が創作したのであろうというのが、より確からし い起源 だそうです。


鶏のマレンゴ風 」写真は以下のLa Cucina Italiana のサイトから拝借しています。
イタリア語ですがレシピも掲載されています。

https://www.lacucinaitaliana.it/ricetta/secondi/pollo-alla-marengo/




ローマを舞台にした悲劇オペラ、プッチーニ の『 トスカ 』は19001月初演。
1幕でボナパルトがマレンゴの 戦いに敗れたという誤報がもたらされ、第2幕でボナパルトが勝ったと いう正しい知らせが届きます。 

画像はトスカの第1幕でナポレオンがマレンゴの戦いで敗れたという誤報を信じて少年合唱団と歌う場面。
イタリアヴェローナのアレーナでの上演で す。
https://www.youtube.com/watch?v=jLGkXg3j49


1899年に発行されたピアノ楽譜の初版の表紙