シンプルなカットと上品なプロポーションのこのシリーズ、ジェノバという名前です。
カットがシンプルな分、色を被せたガラスがよく似合い、6色セットのグラスなどをよく見かけます。
リリースの年が不明で、タイムレスでコンテンポラリーな感じがするので、比較的新しい品だと思っていたのですが、今回初入荷した6客6色セットのリキュールグラスは古いタイプのバカラマーク付きです。
<名前の由来>
ジェノバとは、北イタリアの港町。
イタリア北西部に位置するジェノバは青銅器時代(元前30000-11000年)から人が住んでいたと言われています。
天然の良港と温暖な地中海性気候にに恵まれ、海運の要ともなり商業が発展し栄え、現在でも欧州屈指の港となっています。
この地方の建物の特徴はファサードの装飾、他の地方ならレリーフで作るものを、平面にいかにもレリーフがあるかのように描いているのを多く見かけます。
当然レリーフで作るより相当なコストダウンにもなりますが、それはそれで非常に美しいのです。
自分で撮った写真がないので、リグーリアにお住いのカルラ・マルケッティさんのブログの写真を許可を得て使用させて頂くことにしました。
カルラ・マルケッティさんのブログのリンクを紹介します。
https://www.macalu.it/finestre/finestre.html
さて、ジェノバ出身の有名人というと、最初に頭に浮かぶのはやはりコロンブス。
一般的にアメリカ大陸を発見したと言われているコロンブス(ラテン語名、イタリア語ではコロンボ)もジェノバの出身です。とはいえアメリカ遠征航海は現在ポルトガルやスペインがスポンサーになっていて、更にコロンブス自身は西に西にと向かえばインドに着くと思っていて、アメリカの土着民をインディアン=インドの人たちと呼んだという話は、つとに有名です。
少しジェノバの話から脱線しますが、ちなみににアメリカ大陸はインドや極東ではなく全く異なる大陸だと定義し、証明したのはイタリア人(当時のフィレンツェ共和国)の地理学者アメリゴ・ヴェスプッチ。
1503年に論文『新世界』を発表し、アジア最南端(マレー半島、北緯1度)とアフリカ最南端(南緯34度)の緯度をはるかに南へ越えて続くため、当時の常識だったアジア・アフリカ・ヨーロッパからなる三大陸世界観大陸のどれにも属さない「新大陸」である。という説を唱え、その後実証されたため、アメリゴ・ヴェスプッチのラテン語名アメリクス・ウェスプキウスから名を取って、発見された新大陸は「アメリカ」大陸と名付けられました。
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他にジェノバ出身で有名な人と言うと、イタリア国外ではあまり知られいませんが、イタリアの詩人、愛国者であった。イタリアのリソルジメントの最も有名な人物の一人に数えられるゴッフレド・マメーリ・デイ・マンネッリ(通常はゴッフレド・マメーリと呼ばれる)。
現在も歌われているイタリア国家は「マメーリの讃歌」と言う歌で、歌詞をマメーリが書いています。
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もう一人個人的な思い入れで加えると、現在も活躍する建築家のレンツォ・ピアノ。
若い時にパリのポンピドゥセンターの設計でリチャード・ロジャーズと一緒にコンペで勝ち、一躍有名になったピアノ氏はジョノバとパリの両方に事務所を持ち世界中で活躍しています。
日本では関西国際空港の設計で知られていると思います。
地元ジェノバでは大規模で斬新な水族館、地下鉄、高架道路など都市の景観に大きく貢献しています。
単に手広く設計をしていると言うだけでなく、イタリア国内では大統領から任命された国会終身上院議員を務め、上院議員の報酬を利用して都市の郊外の問題のある地域の若手建築家達とともに社会貢献をするなどでも知られています。
パリのポンピドゥセンター
関西新国際空港
ジェノヴァ・サン・ジョルジョ高架橋
突如倒壊したモランディ橋の代わりに急遽設計構築されたもの。
倒壊したモランディ橋の設計者は自分の名前を橋につけましたが、レンツォ・ピアノはジェノバの象徴と言われる聖人の聖ジョルジョの名前を付けました。