2017年4月11日火曜日

アンティーク バカラ ジルベール BACCARAT GILBERT

2024年3月16日更新




アールデコ期1931年から1961年まで製造されていた バカラ ジルベール

ジルベールにカットを施したものといえばジャン・リュース(Jean Luce)がデザインした、米粒のようなカットを全体に散りばめた「パリ Paris」というモデルがつとに有名で、一説によればこのジルベール本体自体もジャン・リュースのデザインとのことですが、未だ裏付けは取れていません。フランスのebayではかのジョルジュ・シュバリエの作だと言って売っている人もいますが、間違えだらけのかなりいい加減な記述だったので信用できません。




1933年のカタログより



おなじみ映画とグラスですが、こちらは映画の一場面ではありません。
巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督と一人娘パット
多分二ューヨークのレストランでの食事風景。
ジルベールが使用されています。




このようにカットの入ったモデルもあります。

バカラ製品は同型でもエッチングやカットが異なると製品名が変わるので、この品にも名前があるはずですが、判るまではジルベール カット入りとさせていただきます。もしもブログの読者でご存知の方がいましたらご教授ください。

今度「パリ」が入手できたらジャン・リュース(Jean Luce)について詳しく書きたいと思っています。


”似てるけど違うもの” 


グーヴューのデキャンタとの比較です

ストッパーも含めたこのデキャンタの形は他にゴルフジュアンにも使用されていますが、本体部分はグーヴューと同じ型を使用しています。

このデキャンタはコロンとした小さいお団子のストッパーに特徴があり、グラスの脚部にも共通の意匠が施されています。

写真はグーヴューとの比較です。首の長さ太さが若干異なりますが製造工程上あり得ることです。

Dany Sautot著のBaccarat Una manifacture francaiseにはグーヴューと同型でエナメル彩のものが掲載されていて1921年のリリースとされています。




名前の由来
GILBERTは英語、仏語などの人名地名で(発音はフランス語ではジルベール、英語ではギルバート)す。著名人は大半が英国人かアメリカ人、一人だけ著名フランス人の医師がいます(遺伝性肝疾患ジルベール症候群はこの医師の名がつけられています)が、バカラ製品の名前になりそうなフランスと関わりの深い文化人は見当たりません。

地名にも多く使われていますが大半はアメリカの知名度の低い町の名で、唯一由来可能性のあるのは太平洋にある16の珊瑚礁の島及び環礁からなるギルバート諸島でしょうか。
というわけで、これが由来だという確信はありませんが、少しギルバート諸島のことを書くことにしました。





ギルバート諸島はマーシャル諸島の南東に位置し16の島から構成され、現在ギルバート諸島(フランス語読みでジルベール)はフェニックス諸島ライン諸島とともにキリバス共和国となっています。

島の名は1820年にフランス人船長L. I. デュペレ(Louis Isidore Duperrey)が地図に島を追加する際にクルーゼンシュテルン(Adam Johann Christoph Adolf Cavaliere von Krusenstern)により「ギルバート諸島」命名されます。
1945年のギルバート諸島



ヨーロッパ人が発見する数世紀前からからミクロネシア人が住んでいたと言われています。1788年に英国人航海士トマス・ギルバートとジョン・マーシャルによって発見されたため、現在のギルバート諸島にはトマス・ギルバートの名を、マーシャル諸島にはジョン・マーシャルの名が付けられました。

トマス・ギルバートとジョン・マーシャルがイギリス人であったためイギリスの植民地となり、大二次世界大戦中には日本軍とアメリカ軍の交戦の場となった暗い過去もありますが、1971年には住人が自治権を持ち、1979年にキリバス共和国として独立します。

国民総生産の約二割が観光収入ですが、生憎日本からの直行便はないそうです。