2021年6月18日金曜日

ヴェニーニ エザゴナーレ VENINI ESAGONALE

 

あるヴィネツィアのムラーノ島のガラスメーカの中でも最もプレステージな会社の一つである、、、多分最もプレステージといっても過言ではないヴェニーニ社の製品で名前をエザゴナーレ(esagonale)、そのものズバリ「六角形の」という意味です。


このグラスは1932年のリリースで、デザインはヴィネツィアを代表するの歴史的建築家、カルロ・スカルパのよるものです。蜂の巣からイメージしたそうですが、タイムレスなデザインで全く古さを感じません。


ムラーノガラスらしいごく薄い色付きのガラスで、極めて薄く吹かれていて、持ってみると驚くほど軽く、こちらの高さ133mmのフルートグラスで重さは44g で手に取ると思わずはっとする程です。女性の握力でもその気になれば簡単に握りつぶせそうなほどの薄さです。


現在も製造されていて、新品は定価で2客セットで5万円を超え、中古品でも平均価格で100ユーロ(今のレートで13500円程度)近くするため入手したことはありませんでしたが、今回たままた激安で1客だけ売られているの見つけ入手しました。転売目的ではなく、このまま私のコレクションに入りますがワクワクするほど上質な感じが楽しめる逸品なのでブログ一項目には値する、とフレンチクリスタルが中心のこのブログに項目を加えることにしました。


この夏の私の一口ビールグラスにしようと思っていますが、薄すぎて軽すぎて毎回使うたびにドキドキしそうです。


カルロ・スカルパは1906年ヴェネツィアに生まれ。職人の親方の下で長期間見習いをしていた間に、建築に対する理解を深め技術を磨いたといわれています。17歳から設計活動を始め、その独特な濃密なディテールや、感性豊かな素材の利用法と稀有な表現力は幅広く賞賛され、ジオ・ポンティと並んでイタリア現代建築を代表する歴史的建築家とされています。


うちにも日本からデザイン建築関係友人や友人の子供たちが来ると、必ずといっていいほどスカルパ設計のブリオン家の墓地をみにいきます。その墓地の施主に当たるブリオン家はブリオンヴェガという家電メーカーのオーナーでカスティリオーニやザヌーソなどの著名デザイなーとコラボし1960年代70年代に斬新な家電を発表したことで知られています。設立は1945年で1994年に閉鎖されていますが特に1960年代70年代の製品は現在でもコレクターの間で大きな人気があります。


カルロ・スカルパは他にヴェネツィアサン・マルコ広場のオリヴェッティのショールームやヴェローナのカステルヴェッキオ美術館の改装ヴェネツィアビエンナーレ会場内のベネズエラ館などがあります。

1978年ヴェネツィア建築大学(IUAV)の学長就任中に日本滞在し仙台にて亡くなっています。


カルロ・スカルパ設計ブリオン家の墓地



墓地の施主であるブリオン家が経営するブリオンヴェガ社の1960年代70年代の斬新な家電



カルロ・スカルパが部分改装した ヴェネツィア コーレル博物館(Museo Correr)

エントランス ディテール



カルロ・スカルパが部分改装した ヴェネツィア クエリーニ・スタンピリア財団 (Fondazione Querini Stampalia) の床のモザイクタイルディテール



カルロ・スカルパ設計 ヴェネツィア サン・マルコ広場に面する
オリヴェッティ ショールームディテール

Photo: Paolo Monti




ヴェネツィア サン・マルコ広場に面するオリヴェッティ ショールームディテール

まさしく「魂はディテールに宿る」という言葉がふさわしい。