2023年1月24日火曜日

アンティークバカラ 4360 BACCARAT 4360

比較的めずらしいモデルです。

雑草のような草花が描かれたグラヴュール心が和みます。


1907年のバカラのカタログのアールヌーボー調のグラヴュール製品で今まで仕入れたことのなかった唯一のモデルです。

たまたま最近購入したセビーヌのリキュールセットのトレーと、シャルムのセットに1客だけ混ざっていたタンブラーが4360のグラヴュールだったので、食事用のグラスセットはありませんがブログの項目を追加することにします。


4360アメリカングラス

直径68mm 高さ100mm


こちらは1客だけだったのでサンプルになりますが、

Lというモノグラムが特注で入ったグラスでした。





4360のグラヴュールのトレー

セビーヌのリキュールセットについていた小さめのトレーです。

直径253mm 高さ23mm



1907年のカタログの4360のページ



サイズリスト




製品名が番号なので恒例の「名前の由来」コーナーはありません。

なんの草花だろうかと少し調べてみたのですが、判らず。

ご存知の方がいらっしゃいましたらご教授ください。

2023年1月5日木曜日

アンティークバカラ ロンシャン  BACCARAT LONGCHAMP

バカラ樽型ローハンと同型のロンシャンを初入荷しました。


グラスのロンシャンの購入が決まったので、入荷を待ちながらブログ書きを進めておこう、まずは
20世紀の建築の巨匠ル・コルビジェの名作のロンシャンの教会のことを!と張り切って調べ始めたら、、とほほ、、ル・コルビジェのロンシャンの教会のスペルはRongchamp、グラスのネーミングはLongchamp 。。。ヨーロッパに長く住んでいてもRLの区別はいまだに苦手です。ちょっと日本語で「バカラ ロンシャン」と検索したらやはり同様の勘違い=ル・コルビジェのロンシャンのことを書かれている方が他にもいらっしゃいました。一人じゃなくて良かった。。。(笑)


そしてLongchampで検索すると著名バックブランドのせいでカバンの画像やサイトばかり出てきてしまう。困ったものです。


その後色々調べましたが、はLongchampと名の付く町は3つほどありますが人口も少なく、特記する歴史背景もない。

だからそのどれかの町に由来している考えるのも無理がありそうです。


唯一有名な「Longchamp」はパリの競馬場。このモデルはパリの競馬場ロンシャンから名お受けている、と断定して良さそうです。

パリのバッグブランド、ロンシャンもこのロンシャン競馬場から名前を取っているのだそうです。


そう考えると、もしかしたらこの2本の水平カットは競馬レーンからインスピレーションを得ているのかもしれません。ロンシャン競馬場を描いたマネの絵画に描かれた競馬レーンの柵を見て見て下さい。


ロンシャン競馬場を描いたマネの絵画(1872年)



パリのブローニュの森(Bois de Boulogne)はパリの西側にある大きな公園。シャンゼリゼを背にして凱旋門の少し先の左側の巨大な公園、と言ったらわかりやすいでしょうか?その公園の中に競馬場ロンシャンはあります。


公園内には、フランス国立民族民芸博物館、フォンダシオン・ルイ・ヴィトン(こちらの設計はスペインのビルバオのグッゲンハイム美術館の設計などでも有名なフランク・O ・ゲイリー)、アクリマタシオン庭園の子供遊園地、バラ園で有名なバカテル庭園、シェイクスピア庭園、オートゥイユ庭園のほか、全仏オープンが開催されるテニス場スタッド・ローラン・ギャロスなどがあり、その中に有名なパリロンシャン競馬場もあるのです。

バガテル庭園は24ヘクタールもの広大なフランス幾何学式庭園で、バガテル・バラ園には約1万本のバラが植えられているそうです。(バカラのバガテルシリーズの項目はこちらをどうぞ)



昔は荒廃したパリ郊外の森だったのをルイ11世の時代に植林や道が整備されて徐々に公園らしくなったと言われます。ルイ11(1423-1483)といと15世紀のことなのでかなり歴史のある地ということになります。

革命前はロンシャンの修道院でのミサを口実に、着飾った上流階級の人々が高級馬車に乗り富を見せびらかしてシャンゼリゼ通りからブローニュの森のロンシャンまで行く様子がロンシャンの散策 " と名ずけられた程だそうです。それを庶民がどんな目で見ていたのかを想像してしまいます。



ブローニュの森鳥瞰写真


現在のブローニュの森の形に近くなったのは、19世紀中頃の第二帝政期、ナポレオン三世が多種多様な植物を栽培し、乗馬コース、自転車道路、パリ ロンシャン競馬場、滝で結ばれた2つの人工池等様々な設備が整備されます。


日本で「競馬場」というと赤鉛筆と競馬新聞を持った賭けで殺気立ったおじさんが向かう場所、というイメージを持っている方も多いと思いますが。ヨーロッパでは立派な社交の場。上流階級も通うのでかなりエレガントな感じです。


ロンシャン競馬場竣工は1857年ナポレオン三世の出席で開幕式をします。


竣工当時のロンシャン競馬場


竣工当時のロンシャン競馬場



19世紀後半にはマネやドガなどの著名画家がロンシャン競馬場の様子を描いています。


ロンシャン競馬場を描いたマネの絵画(1867年)



ロンシャン競馬場を描いたドガの絵画(1873年)



ファッションの観点からだと20世紀初頭の競馬場のおしゃれな女性の姿も興味深いです。


ロンシャン競馬場の女性達(1908年)




ロンシャン競馬場の女性

ロンシャン競馬場、グランプリの日の女性装い

当時としてはかなり最新ファッション、という感じですね。

(年代不明ですが服装からアール・デコの時代でしょう)




開幕当時木造だった施設は1908年に石像で作り直されます。


1922年頃のロンシャン競馬場


さらに2015年から20183年間の工期で建築家ドミニク・ペロー氏の設計最新の施設に建て替えられました。


2018年竣工の現在のロンシャン競馬場メイン客席


ちなみに仏語版のウィキペディアによると、ブローニュの森公園全体がフランス競馬界の管理下にあるとのこと。



色々珍しい画像をご紹介しましたが、この「風車のある競馬場」というのがロンシャン競馬場の最も象徴的な写真です。


2023年1月3日火曜日

バカラ ロザス ボトルコースター BACCARAT ROSACE






バカラのロザス( ROSACE)ボトルコースターを初入荷したのでページを追加しましょう。

ロザス( ROSACE)とは薔薇窓の事。

よく見ると、その物ズバリの名前です。


製造時期に関してはまだわかっておりませんが、今回入荷した品には古いバカラ マークがあります。



ボトルコースターは食卓にテーブルクロスを敷く習慣のある西欧の生活では使用頻度の高いアイテムです。特に重口の高級赤ワインなどは、一度染みがつくとなかなか取れないものですから。


テーブルクロスを敷く習慣のない日本でも、ボトルコースターを置くとボトルの高級感の演出に良いかもしれません。もちろんテーブルにワインの雫が垂れるのも防ぎます。


6人程度の会食ならテーブルになるワインボトルも1本ですが、八人、十人、12人という大人数の会食の多いヨーロッパではワインボトルが2本同時にテーブルに出されることも珍しくないのでボトルコースターはペア揃いを持ってるという人も少なくありません。







名前の由来


薔薇窓。

そうロマネスク様式や、主にはバロック様式の建築物に象徴的に使われる丸い装飾窓の事。

パリのノートルダム寺院の物などがつとに有名です。




パリのノートルダム寺院の西側薔薇窓

Photo: Eric Pouhier



パリのノートルダム寺院の南側二重薔薇窓

Photo: Uoaei1



フランス ランの大聖堂

Photo: Eric Pouhier


フランス カルカッソンの大聖堂の薔薇窓

Photo: Didier Descouens


写真が綺麗なのは普通薔薇窓のある建築物はバロックで全体にゴテゴテ装飾的のに比較し、建物のファサード全体がシンプルなカルカッソンのカテドラルの薔薇窓は薔薇窓がとても映える、と思います。



イタリア オリヴィェートのドーモの薔薇窓

Photo© https://www.orvietoviva.com/duomo-orvieto/







2023年1月1日日曜日

謹賀新年 2023


新年明けましておめでとうございます。


新年なので所有する物ではありませんがちょっと珍しい逸品をご紹介することにします。


写真はフランスのアールヌーボー時代のガラス工芸藝術先駆者エミール・ガレ(Emille Gallé、1846-1904)の19世紀末頃のクープグラスです。


ガレの作品はカメオガラスの花瓶が本物と東欧での戦後の複製品と併せ多く出回っていて有名ですが、個人的にはこういうガレの繊細なエナメル絵付けのガラス器が大好きで憧れています。


この写真は2022年の初頭にフランスの何処か思い出せないオークションハウスでオークションにかけられていて、(本当は写真の無断使用はいけないのですがで元が思い出せず、許可を取ろうにも取れない状態)見惚れながらも私の扱えるような価格帯の品ではないので画像だけでもコレクションしておこうと、沢山撮ったスクショの一枚です。


オークションハウス説明によると「付け絵と同じエナメルでのガレのサインはないが、小さな紙のシールにガレのサインがある」とのことでした。


落札額は1客で1850ユーロ。仮にオークションハウスのマージンを30%として加算し、円に直すと1客35万円近くになってしまいます。


***


実はこのシリーズの小さめグラスを6客入手の予定が立ち1月10日過ぎにリヨン郊外まで引き取りに行くことになっていて楽しみです。


サインのあるシールが残っていなくて売り手がエミール・ガレ作と知らなかったため破格で購入できました。。。。破格といっても決して決してお安くはありませんが。


ただ、とても値段はつけられないので、当分は私のコレクションになる予定です。

でも入手したらまたこのブログやインスタグラムで改めて紹介させていただきますね。


皆さま、今年もよろしくお願いします。