2015年9月27日日曜日

アンティークバカラ チューリップ型ローハン BACCARAT CHATEAUBRIANT

2016年3月19日更新

©Galleria Kajorica

シャトーブリアン全種類

左からシャンパンクープ   H67mm 160ml
リキュールグラス   H60mm 40ml
デザートワイン(ポートワイン)グラスH88mm 120ml
白ワイングラス   H98mm 165ml
赤ワイングラス   H107mm 210ml、
ウォーターゴブレット H116mm 250ml
デキャンタ H270/345mm 800ml
ピッチャー   H198mm 1000nl
(寸法はロットにより2-3mm異なるこもとも珍しくありません。mlは満水容量)


グービュー、ローハン、コンブールとローハンパターンを施したモデルの名前の由来を書いて来たのでシャトーブリアンも紹介しない訳にはいきません。

Murcie (スペインの町の名前でスペイン語ではムルシェと発音する様ですが、フランス語だとムルシャと発音。)というチューリップ型のモデルにローハンパターンを施したモデルです。

このシャトーブリアンに一目惚れして私のバカラマニアが始まったといういわく付き、バカラ製品でで最も好きなモデルの一つで、最も愛着のある品です。
チューリップ型が持ち易くまた優雅な形状。

1962年に製造中止されていてローハン程製造数が多くなかったためかなかなか売りに出ない上、たまに売りに出ても高価な事から転売用に入手する事が出来ないでいます。幸運にも入手出来たら出品しますが、今のところこの項はモデル紹介とその名前の由来の記述のみとなります。









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”似てるけど違うもの” 
(新設:よく似ている品の違いの解説コーナーです)

シャンパンクープ、左側がシャトーブリアン。右側がローハンのシャンパンクープです。
単に高さが15ミリ異なるだけでなくシャトーブリアンのクープグラスは口がやや開いていますがローハンはそのまま単一曲線で上に立ち上がります。




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名前の由来
シャトーブリアンという町があり、同名のお城があり、シャトーブリアンと呼ばれる貴族がいます。町に因んだのかお城に因んだかそれともお城を造った Châteaubriand(t) 一族に由来するのかは断言はできませんが、貴族シャトーブリアン家のお城のあるコンブールも製品名になっている事からお城に因んだのではないかと推測します

スペルですがヨーロッパの検索サイトだとBaccarat-Châteaubriantと入力するよりBaccarat-Châteaubriand とd終わりで検索する方がヒット数が断然多いのですが、1933年のカタログに Châteaubriant と明記されているのでバカラ製品名としては”t”終わりが正しいことになります。
町名シャトーブリアンも18世紀まで主に”d”終わりで書かれていたのが19世紀頃から”t”終わりが定着したとの事。

まず 町の名としてのシャトーブリアン(Châteaubriant)は11世紀中世にレーヌの伯爵の同盟者ブリア(Brien)氏によってシェール川とロラール川の合流地点の戦略的な丘の上にお城が建設されたのが起源。ブリア(Brien)氏のお城(Château) という意味 でシャトーブリアン(Châteaubriant)。判り易いですね。

そしてお城の周りに出来て行った町がシャトーブリアンと呼ばれる様になり、この Brien氏は一代目Brient de Châteaubriantとなり、二代目は十字軍に参戦して活躍するなどして13世紀には男爵家へと出世します 。十字軍で活躍した為に元の鱗柄の様な家紋にフランス王家の百合の紋が入る様になります。

でもその後シャトーブリアンのお城の所有者は何度か代わり、ルネッサンス期に大規模な改造をされ現在に至っています。

シャトーブリアン家のお城というと別の優美な コンブール城 (Château de Combourg)を指しますがそちらの詳細は、ローハンパターンでロングステムのモデル、コンブールの項目での記載をご覧下さい。

シャトーブリアンの町は現在人口1万2千人程度の町で、ロワール=アトランティック県に区分されていますが、歴史的にはブルターニュに属します。
百年戦争で仏英の戦いの場となった城の周りで発展し、経済は長い間農業やウシの飼育で成り立っていましたが、19世紀には金属加工業、その後プラスチック製造が盛んになりました。 19世紀から都市化が始まり、中世からあった街全体を取り囲む城壁は取り去られたそうです。

この町にまつわるエピソードとしては、フランス革命時代に共和国派と王党派の戦いの舞台となりこの時期に、共和派でナポレオン軍の軍人ジョセフ・レオポルド・ユーゴーが恐怖政治のためにナントから出生地であるシャトーブリアンへ逃れてきていたソフィー・トレビュシェと出会い、2人の間に生まれたのがフランスでとても愛されている作家のひとりヴィクトル・ユーゴー なのだそうです。
シャトーブリアン城


シャトーブリアン城 中庭に面した回廊 © Oie blanche

Châteaubriantはレンヌの南約50キロで、パリのモンパルナス駅からTGVでレーヌまで乗り、ローカル線に乗り換えて3時間半から4時間(乗り換え時間による)で到着します。


ビクトル・ユーゴー(レオン・ボナ画)