2021年10月15日金曜日

アンティーク バカラ アゼ BACCARAT AZAY

バカラといえばローハン、というくらい人気のあるモデル、そのローハンのエッチングのないバージョン。

名前を知らずブログを書けずにいましたが、やっとアゼ(Azay)という名前だということがわかりました。飽きのこないデザインで1925年のリリースで1961年まで製造されていました。

私的にはローハンと全く同じ形なので、混ぜてテーブルコーディネートするのも、面白いと思っています。


アゼ シリーズ


ローハンとの比較




入手した範囲のアイテムの寸法

実際にはローハンと同じだけのヴァリエーションがあると想像します。




名前の由来

名前はユネスコの世界遺産の一部にもなっているアゼ=ル=リドー(Azay-le-Rideau)城のアゼ(Azay)に由来していると推測。

初期のフランス・ルネッサンス様式でアンドル川の中洲に建てられています。







世界遺産としての指定はシュリー=シュル=ロワール渓谷で、この地方は300を超える古城があり、世界的に特に有名です。

気候も温暖なこの地域にお城が建設され始めたのは十世紀頃。何故か、調べてみました。


中世、カール大帝の時代までフランク王国の首都だったパリは、9世紀の半ばから10世紀の初頭まで何度もヴァイキングの侵略を受けていましたが、987年フランスカペー朝を開いたロベール家のロベール一世がフランス国王となり、パリを占領していたヴァイキングをノルマンディー地方に遠のけパリ首都とします。「フランス」という国名はこの時から使われることになります。パリ首都とはしたものの、王本人はロワール地方の最もパリに近いのオルレアンに居住し当時は政治の中心がまだパリとは言い切れない状況だったようです。


16世紀にフランソワ一世がフランス国王になり権力の中心をパリに戻すまで、5世紀に渡りフランス国王やそれを取り巻く貴族によりゴージャスなお城があちこちに建設されます。

フランソワ一世が公式的には1528年にパリを居城と定め、お城の設計に関わってきた大建築家たちがパリに移った後も、大半のフランス貴族はロワール渓谷周辺で過ごすことを好み、太陽王ルイ十四世がパリ郊外にヴェルサイユ宮殿を建設した後でさいえも、多くの貴族やブルジョワが既存のお城を改装したり、新しいお城を建設し続けたといいます。


川の中州に建てられたアゼ=ル=リドー城(Château de Azay-le-Rideau





アゼ=ル=リドー城 内部





アゼ=ル=リドー城 ディテール

フランシス1世の紋章サラマンダーが施されています。



フランシス1


1800年頃のアゼ=ル=リドー城
http://www.azay-le-rideau.fr/より



アゼ=ル=リドー城はロワール渓谷の数あるお城の中でも、イタリアルネッサンスの影響の大きい初期のフランス・ルネッサンス様式の最も重要な例として評価が高く、多くのお城が地方自治体などの管理下にある中。このアゼ=ル=リドー城は1905年からフランスの国有財産となっています。

19世紀に旅行で立ち寄ったバルザックやプロスペル・メリメなどの文化人に絶賛されたことでも知られています。


お城の誕生は中世、12世紀に遡り、ブルゴーニュとアルマニャックの百年戦争時代の犠牲となります。

1418年パリから逃げる途中のシャルル七世が当時城と村を占拠していたブルゴーニュ軍の侮辱に苛立ち、主は彼の軍隊に城を襲撃するよう命じ、 内部の350人の兵士が殺害され、城自体が破壊され、その後約一世紀放置されます。


城が現在の形に近づくのはその100年後のこと。1518年にトゥール市長で国王の財務管理もしていたルイ十二世のお気入りジル・ベルトル(Gilles Berthelot )がついで国王となったフランソワ一世の有能な金融家となり成功し、自分のステータスシンボルの城として、中世の城の余韻を残しながらも、当時最新のルネッサンス様式を採用し大改装(実際には元の城は解体したという記述する文献もあります。)に着手することで現在のお城となりますが、途中フランソワ一世に横領を暴露されメスに逃げ落ち間も無く亡くなったため、所有者が変わるなどして、元の設計案は完成されないままとなり、他のお城のような左右対称ではないL字型のプランでアンシンメトリー建設が終わっていることから、それが特徴ともなっています。



ロワール渓谷の多数お城のある地域

赤矢印がアゼ=ル=リドー城

トゥールの近くです。



このお城で有名なこの地方で最も有名なお城といえばフランソワ一世のために建設されたシャンボール城(Château de Chambord)で、年間数十万人の訪問者がると言われています。


フランソワ一世のために建設されたシャンボール城(Château de Chambord



シャンボール城(Château de Chambord)の貴重な航空写真

2年前友人がセスナ機から撮影して送ってくれたもの



シャンボールと言う名のバカラのグラスもあるのでは検索してみましたが何もヒットせず。サン・ルイではシャンボール(Chambord)というモデルが1974年から2017年まで製造されていました。






サン・ルイのグラスシリーズ、シャンボール(Chambord