2015年9月24日木曜日

アンティークバカラ ローハン ロングステム BACCARAT COMBOURG

2018年7月24日更新

二種類あるロングステムのローハンパターングラスのうち、口が広がってないタイプです。ステムを持てるのでクラシックでありならが同時に今日的な使用の仕方ができるグラスです。


©Galleria Kajorica




名前の由来
バカラのグラスはロングステムとノーステムまたはショートステムでは全て別名が付いているので、このローハンのパターンでロングステムのグラスも絶対ローハンとは別の名があるはずと探してみたら、どうやらコンブール(Combourg)という名前の様です。フランスのヴィンテージ アンティーク クリスタル専門店のサイトでみつけました。間違いも多少はあるサイトですし、インターネット上の情報は鵜呑みにしない方が良いといつも自分に言い聞かせているのですが「コンブール」と書いてあるのを見つけてとても納得してしまいました。

何故って、そうすると、バカラのローハンパターンの製品はグービューを除き全てブルターニュの有名なお城の名前がついていることになるのです。いずれも町の名前でもありますが、それ以上にお城が有名である共通点もあります。
でもグービューは何故グービューなのでしょう。不思議。

ローハンのパターンを施したモデルで有名なのは他にチューリップ型ショートステムのシャトーブリアンがありますが、シャトーブリアンとコンブールは切っても切り離せない関係にあります。

レーヌの南50kmの城下町シャトーブリアンにはシャトーブリアン家の祖先が建てて、後に人手に渡ったシャトーブリアン城がありますが(詳細はシャトーブリアンの項目で書きます。)一方シャトーブリアン家のお城というとレンヌの北30キロにある優美な コンブール城 (Château de Combourg)のことを差すのです。



シャトーブリアンのスペルはヨーロッパの検索サイトだとBaccarat-Châteaubriantと入力するよりBaccarat-Châteaubriand と「d」終わりで検索する方がヒット数が断然多いのですが、1933年のカタログに Châteaubriant と明記されているのでバカラ製品名としては「t」終わりが正しいことになります。

また随分沢山の文献を参考にしても未だに不確かなのですが、 作家フランソワ=ルネ・ド・ シャトーブリアン(1768-1848) の姓は「d」終わりですが「t」終わりChâteaubriant家の家系図に入っている事から、「t」終わりのChâteaubriant 家と「d」終わりのChâteaubriand家は同じ家系なのではと思われます。町名は”t”終わりのChâteaubriantで定着し、一族はd”終わりのChâteaubriandで定着したのでしょうか。

もし私の解釈が間違っていて詳細をご存知の方がいらっしゃいましたらメールにてご指摘頂ければ幸甚です。イタリア語は全て明瞭に発音するので、フランス語の様に音として消えててしまう文字がある言語の常識を良く知りません。

コンブール城 Photo: ©Editions Jack    http://www.chateau-combourg.com より
コンブールまではパリのモンパルナス駅からTGVで約2時間のレーヌでローカル線に乗り換えて約30分
乗り換えを含めてもおよそ3時間で到着します。

コンブール城は11世紀にドールの司教の望みで建設され、現存する城は13-15世紀の間に後期ゴシック様式で再建されました。再建当初はドゥ・ゲクラン家(Du Guesclinの所有物でしたが1761年にコンブール伯爵だったルネ=オギュスト・シャトーブリアンによってシャトーブリアン家の居城として購入されました。優美な美しさでとても有名なブルターニュを代表するお城です。

ルネ=オギュストの息子、フランソワ=ルネ・ド・ シャトーブリアンはフランス ロマン派文学の父と呼ばれる高名な作家(1768-1848) でここで幼少期を過ごしました。

貴族の家庭に生まれ革命の激動の時代を文人としてだけでなく王党派の政治家、外交官として 生きた フランソワ=ルネ晩年は政治から身を引き、その人柄の良さから本来なら敵対するイデオロギーを持つ共和派の文人からも愛されたとの記述が残っています。

彼の抱えていた矛盾と葛藤は自身について書いた;

伝統としては専制主義、名誉のためには 君主主義
         習慣としては貴族的、良識としては共和主義」


« Monarchiste par hérédité, légitimiste par honneur, aristocrate de moeurs, républicain par bon sens. »  (1848)

               この短い一文にに要約されてといってもいいでしょう。

フランソワ=ルネ・ド・ シャトーブリアン

因に、一頭の牛から僅か(600g-4kg)しか取れないヒレ肉を使う有名なシャトーブリアン・ステーキはこの フランソワ=ルネ・ド・ シャトーブリアンが料理人に命じて作らせたためこの名前がついたとのこと。贅沢ですね。

シャトーブリアン•ステーキ©Jeremy Keith-from Brighton & Hove