2018年1月6日土曜日

アンティーク バカラ エクセルシオール BACCARAT EXCELSIOR






































エクセルシオール (Excelsior) は、ラテン語で「優れた」、「気品のある」あるいは「常に向上する」を意味する単語。

日本では英語での発音から“エクセルシア”もしくは“エクセルシアー”とも表記されます。

バカラのこのモデルも「優れた」「気品のある」のその言葉そのものだと感心します。
アルクールとシャルムの中間くらいのイメージでしょうか。
太めの脚に施されたカットなど、凝った造りのため、発売当時の価格も他の品に比べ大分高めだったのでは、と想像します。
滅多に売りに出ないため、希少品に分類しています。今回初めての入手になります。










名前の由来;
エクセルシオール (Excelsior) といえば19世紀アメリカの詩人ロングフェロー(Henry Wadsworth Longfellow/1807-1882)による1841年に出版された短詩、エクセルシオール(より高く)Excelsior派つとに有名ですので、文末にネットでみつけたこの詩の全文の日本語訳も掲載します。

が、欧州在住の私個人はエクセルシオールといえば、はじめに頭に浮かぶのはこの詩より、バレエのエクセルシオールでしょうか。

バレエのエクセルシオールはルイジ・マンゾッティの振り付けロムアルド・マレンコの音楽で1881年1月ミラノのスカラ座で初演され、その後ユーロッパ各地の劇場で再演されています。
また1913年のパリの万博で、ルカ・コメリオの監督で映画化され初上映されています。


初公開時のポスター

初演の舞台

初演1881年という日付けに注意したいのですが 、19世紀中頃は世界情勢に大きな動きがありました。日本の鎖国も終わり、北イタリアからオーストリアが退き、イタリアは統合、イギリス、フランスはかつてない経済発展を遂げていました。

私はこのバレエを数年前、まだ不況の深刻だった時期に、スカラ座で見ました。舞台の尋常でない華やかさが、不況の当時にはむしろ皮肉に見えるほどでした。
現在の立体的舞台装置とは異なりほぼ全て「書き割り」の舞台装置とはいえ11回の舞台装置変えがあり、当時の国際化と好景気、人類による文明の謳歌と未来に対する大きな希望など、時代の気風が鮮やかに描かれているとても印象的な舞台です。

ここにご紹介する舞台はこちらのリンクからスクリーンショットしています。
















19世紀アメリカの詩人ロングフェローHenry Wadsworth Longfellow/1807-1882)

「Excelsior」はニューヨーク州の標語・モットーとなっていて、ニューヨーク州旗のデザインにも文字が刻まれています。

ニューヨーク州旗

ロングフェローの短詩「エクセルシオール(より高く)Excelsior」では、雪山に登ろうとする若い男性が主人公として登場する。
彼は「Excelsior」と書かれた旗を掲げ、村人たちによる再三の警告にもひるむことなく、ただひたすらに高みを目指す主人公のひたむきな姿が描かれている。



詩の全文・日本語訳(意訳)
The shades of night were falling fast,
As through an Alpine village passed
A youth, who bore, 'mid snow and ice,
A banner with the strange device,
Excelsior!
にわかに来たる夕闇
アルプスの村を横切り
若者は掲げる 氷雪の中
見たこともない紋章の旗を
より高く!
His brow was sad; his eye beneath,
Flashed like a falchion from its sheath,
And like a silver clarion rung
The accents of that unknown tongue,
Excelsior!
悲しそうに歪む眉 その下の眼差しは
鞘から抜いたファルシオンの如く輝き
銀のラッパのように
聞き覚えのない言葉が響く
より高く!
In happy homes he saw the light
Of household fires gleam warm and bright;
Above, the spectral glaciers shone,
And from his lips escaped a groan,
Excelsior!
遠くの幸せそうな家に
暖かく輝く家族団欒の光を見る
頭上に現れるは氷河の幻
彼の口から漏れる言葉は
より高く!
"Try not the Pass!" the old man said:
"Dark lowers the tempest overhead,
The roaring torrent is deep and wide!
And loud that clarion voice replied,
Excelsior!
「進んではいけない!」老人は言った
「闇が立ち込め嵐がくる
激流はうなり 深くて広いぞ!」
大きく響く声が応える
より高く!
"Oh stay," the maiden said, "and rest
Thy weary head upon this breast!"
A tear stood in his bright blue eye,
But still he answered, with a sigh,
Excelsior!
「行ってはいけない」少女は言った
「ここで休みなさい」
彼の輝く青い目には一粒の涙
ため息とともに彼が応えるは
より高く!
"Beware the pine-tree's withered branch!
Beware the awful avalanche!"
This was the peasant's last Good-night,
A voice replied, far up the height,
Excelsior!
「枯れた松の枝に気をつけろ 
雪崩も怖いぞ!」
農民の最後の言葉だった
声は応える さらに高い響きで
より高く!
At break of day, as heavenward
The pious monks of Saint Bernard
Uttered the oft-repeated prayer,
A voice cried through the startled air,
Excelsior!
夜が明け 天に向かって
敬虔なサン・ベルナールの修道士が
いつもの祈りを捧げる
叫ぶ声に空気も震える
より高く!
A traveller, by the faithful hound,
Half-buried in the snow was found,
Still grasping in his hand of ice
That banner with the strange device,
Excelsior!
忠犬が旅人を見つけた
雪に半ば埋もれながら
凍った手で握り続けていたのは
見たこともない紋章の旗だった
より高く!
There in the twilight cold and gray,
Lifeless, but beautiful, he lay,
And from the sky, serene and far,
A voice fell, like a falling star,
Excelsior!
薄暗く冷たい夜明けの光
息絶え横たわる美しき姿
はるか遠くの澄み渡った空から
その声は流星のごとく舞い降りる


より高く!