2025年4月3日木曜日

アンティーク バカラ ジョセリン(ジョスラン)BACCARAT JOSSELIN

 このページは二種類あるロングステムのローハンパターングラスのうち、口が広がっているタイプ、通称ジョセリン、ジョスランの項目です。

日本ではローマ字読みにして通称ジョセリンと呼ばれているようですが、フランス語ではジョスランと発音します。。













下の写真の口が広がっていないタイプのローハン ロングステムについては

こちらのページをご覧下さい。

http://galleria-kajorica.blogspot.com/2015/09/baccarat-combourg.html








名前の由来


製品名は日本で一般的にジョセリンと呼ばれているのでタイトルはジョセリンのままにしましたが、フランス語ではジョスラン(ブルトン語:Josilin)は、ブルターニュ地方のモルビアン県に位置する人口3000人に満たない小さな町です。


この村は、14 世紀から 15 世紀にかけて建てられたロハン公爵の居城、美しいロハン城で有名です。

お城の所有者は現在もロハン家の一人とのことです。


なるほどローハン(フランス語ではロハンとロアンの中間くらいの発音で「ロー」と伸ばしません)と同じエッチングが施されているのも納得です。




ジョスラン城

Photo©JLPC




ジョスランの町の徽章



ジョスランの街並みとメルシェ風景

2025年3月28日金曜日

アンティーク サンルイ パパン SAINT LUOIS PAPIN


1930年のカタログ見にられるモデルです。

上部の太めのリボンから下向きの花束がリピートされたフェミニンなエッチングです。





1930年のカタログページ




名前の由来


PAPIN パパンというのは人名で、ネット検索をすると有名なサッカー選手が最初にヒットしてきます。が、戦後の選手なのでこのグラスがリリースされた頃にはまだ生まれていませんでした。

そこでサンルイが意図したパパンは、フランスの物理学者で発明家であるドゥニ・パパン(Denis Papin 1647-1713)に由来していると仮定して書くことにします。



ドゥニ・パパン(Dice Papin 1647-1713)


パパンは圧力調理器の発明者、蒸気機関の原理の開発者として知られています。


フランス中部ブロワ近郊に生まれたパパンはアンジェの大学で医学を学び、卒業後パリに移住しますが数学や力学への興味が捨てきれず、翌1671年から、当時パリにいたオランダの数学者で物理学者クリスティアーン・ホイヘンスの助手となります。


その後1675年ロンドンへ渡り、ロンドン王立協会ロバート・ボイルの助手を務め空気ポンプを用いた種々の実験でボイルを補助しました。


1679年からは王立協会でロバート・フックの助手を務め、水の沸騰温度が圧力に依存することを発見し、圧力調理器 を発明して王立協会へ提出した調理器には安全弁がついており、パパンは安全弁の発明者としても知られています。


パパンのダイジェスター圧力調理器


1681年に彼はイタリアへ渡り、1684年までベニスの公立科学アカデミーの実験主任を務めます。

1687年からのドイツ滞在中にシリンダとピストンを用いた蒸気機関の模型を製作し、これはその後の蒸気機関の原理となりました。

蒸気圧力ポンプの計画

1707年まで続いたドイツ滞在後再びロンドンに戻り王立協会で再度職を得るよう望んだが、協会の財政的な苦しさから実現されず、王立協会に彼を正当に評価されなかったという強い不満を抱いたまま1713年貧窮のなかでロンドンで死去したと言われています。


2025年2月26日水曜日

アンティーク バカラ マラデッタ BACCARAT MALADETTA

Photo © Patrick-SchÅttler  Courtesy Baccarat


以前から書きたかったアイテムなのでバカラのプレス オフィス提供の写真での投稿になります。


薄く軽いカップ部と重くしっかりした脚部との対照が魅惑的なアイテムです。

ジョルジュ・シュバリエの後期の代表作で、バカラ関連の書籍の大半で紹介されています。



Photo © Patrick-SchÅttler  Courtesy Baccarat



マラデッタのリリースは1946年、製造終了は1970との事。


現物を入手していないのでサイズリスと容量の記載はありません。



名前の由来


マラデッタは山の名前。

形態的に言っても納得のいく名前です。


マラデッタは、フランスとスペインを分けるピレネー山脈の中央部にある海抜3,312 mの山。



Photo © Pablo Moratinos



ピレネー山脈の山で、スペイン、アラゴン州ウエスカ県のベナスケ市にあるポセッツ マラデタ自然公園内にあります。


ピレネー山脈の最高峰は約90m高いアネト山(3404m)の近くにありますが、ベナスケ港を通って谷へ自然に入る入り口から、またはフランスからアプローチすると、その頂上が前景に現れるため、特に19 世紀初頭登山者の関心を集め、正確な測量のできなかった時代はこの地域の最高峰とみなされ、その頂上への登頂は山脈内の他の山より重要と考られていたと言われています。 



初登頂は1817年で、ドイツの博物学者ヨハン・ヤコブ・フリードリヒ・ヴィルヘルム・パロットがピエール・バラウの指導を受けて成功しました。



ヨハン・ヤーコブ・フリードリヒ・ヴィルヘルム・パルロット

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その北斜面にはマラデタ氷河があります。


山の名前の「マラデタ」の由来は「「忌まわしい山々」を意味するスペイン語のモンテス・マルディトスに由来しています。

この山塊の地元名はマラ・ヒタ(「悪い」または「上部地域の悪い岩」)でした。フランス人旅行者がこの地域を訪れたとき、イタリア語のマラデッタ(女性名詞で「呪われた」を意味する)と同源であるとして、その名前をフランス語に翻訳して「マラデッタ」としました。その後、この山は山塊全体を指す言葉であるマラデタとして知られるようになりました。